活動報告

2014年10月08日(水) 慰安婦問題に関する決議について

本日は本会議最終日でした。

慰安婦問題に関する決議案15号に賛成し、議場にて討論させていただきました。
以下に私の所見を記します。


 私が議員になる3年前に宝塚市議会で可決され、平成20年3月26日付けで政府に提出された「いわゆる従軍慰安婦問題に関して政府に対応を求める意見書」は、想像を超える影響力で全国各地に広がり、現在では40以上の地方自治体が同様の意見書を可決するに至っています。

 その影響は国内に留まらず、2008年の韓国国会における慰安婦決議や、全米各地の慰安婦記念碑や慰安婦像設置の有力な論拠として引用されているのです。それらの石碑には、「20万人以上の少女が、日本軍により強制的に連行され、性奴隷にされた」と記銘されています。これは証明されていないことを数千年後の未来に伝えるものであり、到底看過できるものではありません。

 簡潔に言うと、「20万人」という数字は、工場労働のために徴用された日本国内の「女子挺身隊」の人数と誤って、又はあえて混同させたものであり根拠がありません。また、たとえ慰安婦全体の人数が何人であったとしても、そのうちの何%が意思に反して従事させられた方々だったのかを明確にして話を進めるべきでしょう。参考までに2004年に韓国政府が償い金を受け取るべき元慰安婦として認定したのは、すでにお亡くなりになっている方も含めて207名でした(以下、対象を明確にするため認定慰安婦と呼ぶ)。
 「日本軍による強制」については下記に説明しております。また「奴隷」というのは対価を伴わない一方的な搾取のことであり、慰安婦はこれに当たりません。

 
 慰安婦の中には、不幸にも業者に騙され、または両親に売られて(なお、いわゆる「慰安婦狩り」については吉田証言の撤回により全くの虚偽であったことが証明されました)、想像を絶する苦難に耐えなければならなかった方も含まれていると思います。そのため、日本では民間の「アジア女性基金」と国費による医療・福祉支援費、合計一人500万円、及び首相からの謝罪の手紙を渡す準備が整えられ、60人の認定慰安婦がそれらを受け取っています。※東南アジアも含めると全体の約40%、364人が受け取っている。

 しかしながら、残りの認定慰安婦が償い金と支援を受けることを妨害し、受け取った認定慰安婦に対して非難・攻撃したのは、反日団体「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)でした。挺対協のプロパガンダにより、韓国政府だけでなく、マスコミや世論は、徹底して日本政府による損害賠償請求を要求し続けることになったのです。

 なお、韓国治安当局は挺対協を「北朝鮮工作機関と連携し、北朝鮮の利益を代弁する親北団体」として監視しています(産経新聞2014.5.24)。また、産経新聞の最近の記事も紹介しておきます。「ある日本人ジャーナリストはかつて挺対協幹部にインタビューした際、終了後にこの幹部が言い放った言葉を鮮明に覚えている。『慰安婦なんてどうでもいいんだ。反日が目的なんだ』」(2014.10.26)

 韓国は「日韓基本条約」で日本に対する一切の賠償請求権を放棄しており、国際法遵守の観点からは更なる国家賠償請求ができません。本当に認定慰安婦お一人お一人の事を考えるなら、「アジア女性基金」から償い金を受け取らせてあげるべきことは誰の目にも明らかですが、慰安婦問題の解決ではなく反日活動自体を目的としている挺対協や、国際政治の力学から日本に対して有力なカードを保持したい近隣国はこれを認めないのです。


 さて、話が広がりました。本市の慰安婦意見書に戻ります。
 世界的な慰安婦問題の広がりの結果、我が国は国際的な非難の矢面に立たされていますが、本市議会の意見書が非難する側の有力な論拠の一つとされていることは痛恨の極みです。一地方議会の意見書が国家間の外交問題、国際問題の火種となる状態は好ましくありませんし、本来の地方議会の役割・権限の範囲を超えるものと言わざるを得ません。

 そこで、慰安婦問題の発端となり、有力な論拠とされてきた「吉田証言」の報道を朝日新聞が虚偽であったと認め、正式に取り消し謝罪したことを受けて、「本市議会の意見書が決定的な根拠を失ったことを確認する新たな決議」案を、私が所属する会派(新風宝塚改革の会)が中心となって、9月24日付けで市議会に提出しました。

 結果は14対11で可決されましたが、残念なことに僅差の可決となりました。本市には決議を委員会に付託する先例はありませんでしたが、反対派議員からの申し出に応じて委員会で審議することになりました。左派系の市民団体が傍聴する委員会室で緊迫した質疑が行われましたが、その中での反対派の主な主張は以下の3点でした。

 1、「強制」は軍による組織的な強制(教義の強制)ではなく、現地の業者等によって騙されたような場合も広く含む(広義の強制)。騙された女性本人からすれば「意に反して」従事させられたことに違いはない。
 2、戦時中の慰安婦制度自体が女性を蔑視するものであり、慰安婦問題は女性に対する普遍的な人権問題である。
 3、河野談話は効力を維持している。


 私は総務常任委員ではないため、委員会での審議には参加できませんでしたが、私からの反論は以下の通りです。
 1、すなわち、慰安婦問題の本質は、我が国に対する「新たな賠償請求の問題」であるため、責任の範囲を法律上の因果関係が認められる範囲内(狭義の強制)に限定する必要がある。現地の業者に騙された少女の話は胸を打つが、そのような「広義の強制」にまで法律上の因果関係を認めることはできない。なお、業者は被使用者とは言えないため、政府に使用者責任を問うことはできない。
 莫大な補償と引き換えに日本に対する一切の賠償請求権を放棄した「日韓基本条約」(1965年)の存在も、慰安婦問題が「賠償責任」の問題であることを明確にすることで、より説得力ある論拠となりえる。

 2、同じ理由で、慰安婦問題を女性の普遍的な人権問題にまで広げることはできない。それは慰安婦問題(賠償問題)とは別に、未来に向けた新たな課題として議論すべきである。
 慰安婦問題の対象は先に述べた「認定慰安婦」なのであり、これを「慰安婦」一般、さらには「女性」一般に広げていくことは間違いである。左派陣営はあえて問題の対象を広げ不明瞭にすることで、慰安婦問題の解決を遠のかせ、将来に渡って反日活動を継続できる基礎作りをしているように思われる。

 3、平成20年意見書の根拠とされる河野談話については、吉田証言が慰安婦問題の契機になったこと、与えた影響の大きさ、河野談話は韓国との友好構築を目的とした政治的妥協の産物であり、認定慰安婦の証言もあいまいで信憑性に欠けることを丁寧に説明すべき。

 以上ですが、河野談話については、政府が談話の効力を維持している以上、反対派の論拠としては一定の効力を認めざるをえません。政府には早急なる河野談話の見直し、または新しい談話の発表を切望します。
 

 実質的に平成20年の意見書を見直した形となる今回の決議によって、一地方議会の意見書が国家間の外交問題、国際問題に負の影響を与えている状態を解消できれば幸甚です。

 これを契機に、慰安婦意見書を可決している他市の議会においても、見直しの議論が広がることを願ってやみません。