活動報告

2012年05月15日(火) 森林バイオマスエネルギー

平成24年度宝塚市一般会計予算における「新エネルギー推進事業」については、本会議最終日の討論で厳しい意見を付させていただきました(3月27日活動報告参照)。

しかしながら、新事業として市の調査は進んでいくわけですし、一般論として新エネルギーの可能性と必要性に疑いはないわけですから、私なりに理解を深めておこうと思い、近頃、新エネルギー関連書籍に目を通しています。

その研究の一環として、本日は徳島県那賀町の森林バイオマス多段階活用プラントの個人視察に参りました。町域の95%が森林に覆われている那賀町では森林の有効活用を積極的に探っています。

12:45~ 相分離変換システムプラント完成式典参列
13:20~ BTLプラント説明会及び見学会
13:50~ 相分離プラント説明会及び見学会
15:00~ 報告「バイオマスタウン構想の実現に向けて」(那賀町林業振興課プロジェクト推進室長・久保野勲)
15:10~ 講演「バイオマス革新技術で宝の山を築こう」(京都大学名誉教授・芦田譲)
15:30~ 講演「未来社会の基盤は森林から」(三重大学大学院教授・船岡正光)
15:50~ 講演「森林資源のエネルギー転換バイオマスのガス化による発電と液体燃料合成技術・BTLシステム」(マイクロ・エナジー代表取締役会長・橋本芳郎)


生物体(バイオマス)の持つエネルギーを利用したアルコール燃料や合成ガスのことをバイオ燃料と言い、石油のような枯渇性資源を代替しうる非枯渇性資源として注目されています。二酸化炭素(CO2)の総排出量が増えないことから、主に自動車や航空機を動かす石油燃料の代替物となります。
日本では近年、廃却処理に苦労しているサトウキビなどの搾りかすを使ったプラントでの試験が行なわれてきましたが、最近では材木の廃材や雑草を原料とする方法など、できるだけ食料を使わない方向で研究が進められています。

那賀町のBTLシステムは、まさにこの木材チップを原料として石油類(灯油・ガソリンなど)を作り出しているのです。
またBTLシステムの隣に新設された相分離プラントでは、製品化可能なリグノフェノールを取り出すことができます。リグノフェノールは材木からセルロース(繊維)を分離した残りかすで、製紙工場などでも排出されるのですが、製品化できるものではありませんでした。

那賀町の相分離プラントは3億円かけて造られた試験用のモデルプラントにすぎませんが、森林資源の多い日本では早晩の実用化が期待されます。プラントが大規模化すれば費用対効果も上がるとのことです。

木材が石油に変わるのを目の当たりにして正直驚きましたし、陸地に石油資源がなく、代りに森林資源は豊富にある我が国にとっては夢のプラントだとも思いました。
再生可能エネルギー源には、太陽光、風力、地熱、水力、バイオマス、海洋エネルギーなどがありますが、東京大学前総長の小宮山宏先生の言うとおり(5月8日報告参照)、新エネルギーのポテンシャルは日本にこそあります。今後の新技術の進展に期待したいと思います。

最後に、今後の新技術の進展に期待はしますが、それを宝塚市で調査研究して、エネルギーの地産地消に繋げる必要性はないと重ねて表明しておきます。県単位ならともかく、市単位での地産地消は費用対効果が悪すぎるからです。那賀町のプラントも国と大学の研究に場所を提供したに過ぎません。

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