昨日の視察報告の続きです。大阪府堺市にある関西電力堺港発電所を訪ねました。
脱原発の流れのなか、現時点での主力発電である火力発電施設と、新エネルギーの筆頭である太陽光発電施設を視察し、電力供給の現状と今後について考察しました。
【関西電力堺港発電所】
堺港発電所は天然ガスを使うコンバインサイクル型の発電所で、まず天然ガスの燃焼でタービンを回し、その時に出る高温の熱を利用して、蒸気タービンを回して効率よく発電します。
写真に写っている煙突群は旧発電所で、今は使われていません。2009年から稼働している新しいコンバインサイクル発電所は、この煙突群の向こう側にあります。
【関西電力堺太陽光発電所】
敷地面積21万㎡で甲子園球場の約5個分に相当する広さがあり、現在日本で2番目の大きさだそうです。
発電量は1万kWですが、訪問した夕方ごろには6000kWほどの発電量しかありませんでした。
さきほどの火力発電所は、このメガソーラー1年分の発電量を、たった6時間で発電するらしく、火力発電所が電力供給の圧倒的な主力であることが分かります。コストについては、太陽光は火力の約3.5倍になります。
【CO2排出量の各種電源比較】(単位:g-co2/kWh)
<ポイント>火力発電はCO2を大量に排出する。
水力 11
地熱 13
原子力 20
風力 25
太陽光 38
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天然ガスコンバインド 474
天然ガス火力 599
石油火力 738
石炭火力 943
【コスト(円/1kWh】
<ポイント>太陽光発電はコストが高い。
水力 10円強
原子力 9円
風力 14円
太陽光 35円
天然ガス 11円
石油 21円
石炭 10円弱
【関西電力の電源構成】(出力/箇所数)
<ポイント>原子力発電所のパフォーマンスがずば抜けている。
水力 820万kW / 150
原子力 977万kW / 3
風力 1.2万kW / 1
太陽光 1万kW / 1
火力 1691万kW / 12
原子力はコストが一番安く、CO2を排出しないのに、ハイパフォーマンスという大変優秀な電源ですが、放射能の危険というリスクが存在します。
美しく肥沃な国土を放射能によって穢れさせないためにも、原発依存からの段階的な脱却が必要です。現実的に考えて、有事の際に日本全国にウィークポイントを抱えていることは戦略上も得策ではありません。テロは必ず原発を狙います。
ただ、段階的に時間をかけて原発依存を脱却すればよいので、再稼働に反対の立場ではありませんし、全廃する必要もないと思っています。
なお、自然エネルギーについては、風力も地熱発電も問題が多く、主力の電源とするのは困難とのこと。やはり太陽光発電が有望なのだそうです。