発達障害に関して教育委員会訪問のご報告

【5月18日(水)】 保護者の皆様とともに、教育委員会と子ども発達支援ンターを訪問。質問及び要望をいたしました。以下は保護者代表がブログに纏めておられたものを転載させていただきました。

【教育委員会への質問・要望】
Q1. 共生社会の実現に向けての第一歩である※インクルーシブ教育が本流になりつつあるが、現在の宝塚市としての取り組みと今後の展望についてどのようになっているのか。※インクルーシブ教育とは、障がいの有無によらず、すべての子どもが地域の学校、通常のクラスで共生し、個々のニーズに合わせた学習できる教育のこと。
→インクルーシブ教育という言葉は最近になってもてはやされるようになったが、以前から地域の学校では、支援学級と交流学級との行き来で交流を持ってきている。これからも続けていきたい。
(保護者からの意見) 交流という形ではなく、ひとつのクラスで同じように学べる環境作りができるように考えていってもらいたい。

Q2. 特別支援教育の目的(※キャリア教育)を明確にして教員全員が確認及び共有する必要性がある。※キャリア教育とは、これまでの進路に限った指導ではなく、将来を見据えて働くことや自律して人生を歩んでいくために必要な能力などに重点を置いた教育。
→昨年度から、県全体としてキャリア教育への取り組みが始まったところである。これから研修など通して教員全体の意識アップに取り組む。

Q3 .特別支援や支援学級の先生の質の向上のための取り組みをどのように行っているか。研修や勉強会などの参加、開催状況。全体としての底上げしてほしい。専門性の担保。
→各学校でのその時々の課題に応じて、校内では年2回全教員対象に専門家を招いたり、支援コーディネーターを講師として研修会を行っている。(発達障がいに限定せず)
(保護者からの意見) 特別支援学校での研修もされているが午後4時からという時間の関係上、参加したくてもできない地域の学校の現状もある。時間の調整などを行い、もっと積極的に参加できる工夫をお願いしたい。

Q4. 地域の小学校に※通級があるのは二校のみ。学習機会が均等といえない。どのように改善していくか。※通級とは、軽度の障害をもつ児童生徒が、通常の学級に在籍しながら、障害の状態に応じて特別な指導を受ける教育形態。ほとんどの授業を通常の学級で受けつつ、通級指導教室で自立活動や各教科の補充指導などの授業を受ける。※支援級の場合は在籍は通常クラスではなく、支援級。
→宝塚市では現在小学校2校、中学校1校に通級を設置している。小学校はこの2校がセンター校となり、市内全24校のうち8校に教師が出向いて通級指導しているが、行き届いていないのが現状。宝塚市としては、県に毎年新規設置をお願いしているが、県全体としても毎年3クラスずつしか増やすことができないため、限られた枠の中を宝塚市に持ってくることが難しい。しかし、これからもお願いしていく。
(保護者からの意見) 早急な対応が難しいということであれば、例えば放課後に通う形態など、フレキシブルに対応することも検討していただきたい。

Q5. 先生方、児童や保護者への啓発活動の実施状況。
→教員については上記のとおりで、どの教員も発達障がいについては必ず研修を受けている。保護者については各学校裁量やPTA活動に依る所が大きい。児童への啓発は、発達障がいが何か?ということではなくて、クラスの中で先生の適切な声掛けや雰囲気作りを通して理解を深めるようにしている。

Q6. 幼→小→中への連携が不十分という話をよく聞くので改善してほしい。
→書類等の引継ぎ申し送りはしている。しかし詳細については保護者からの働きかけがなければ難しい場合もある。
(保護者からの意見) 各学校連携に関しては、同じ内容であっても個々の資質によって質が異なるので、やはり全体としての底上げをお願いしたい。

Q7 公立、私立問わず幼→小への連携できる体制を整えてほしい。
具体案は示されず

Q8 宝塚市から他市の幼稚園に通う子どもへのフォローが必要。就学説明についての情報すらない。
→市外周辺地域の幼稚園へは毎年9月頃に訪問している。案内に関しては、問合せがあれば対応するが市をまたぐと難しい。広報には情報を載せている。
(保護者からの意見)特別支援学校、地域の学校の支援級を検討している方への説明会は6月に開催。9月では間に合わないし、全員が広報を見ているとは限らない。
→案内していく。

Q9 現場で働く先生方は、気になる子を見つけても保護者に伝えづらいということがある。先生ではなく発達の専門家などの第三者からのアドバイスが必要だと思われるが、どうか。
→各学校には心理カウンセラー、スクールソーシャルワーカー(小学校は全校ではないが、中学校は全校配置。小中の連携があるので未設置の小学校は中学校のSSWで対応できる)、巡回相談もあるので利用してほしい。教育委員会には看護師、理学療法士、作業療法士、看護師も在籍しており、ニーズがあれば派遣する。

その他、会談した内容を以下に列挙します。
『教育委員会』より → 今年2016年4月から放課後デイと連携をするように国から通達があった。これまでも肢体不自由児については発達支援センターとも連携してきたが、発達障がいに関しても連携強化される。
『教育委員会』より → 宝塚市でも年々、支援級に在籍する生徒が増加している。市内12000人超の小学生のうち400人を超える生徒が支援級に在籍している。個々の障がいの程度人数などから判断して介助員を割り振っているが、枠が決まっているのでニーズを拾いきれていない部分もある。できるだけきめ細かく対応していきたい。
(保護者からの意見) → 個によっては問題行動が顕著な場合もあるが、目の前の問題行動に注目するのではなく、そうしなければならない背景に注目して対応してもらいたい。自尊心に関わることなので、頭ごなしに叱るのではなく丁寧に対応してもらいたい。また、そのことを徹底してもらいたい。
(保護者からの意見) → 『みんなの学校』のような地域を巻き込んで、すべての子どもが同じ教室で学べることが理想。もっと地域に働きかけてみてほしい。
『教育委員会』より → 近隣阪神間の特別支援教員の数は群を抜いて多い。(それでも現場は悲鳴を上げているけれど…)
『教育委員会』より → 障がいの有無に関わらず教育支援課が設置されていて、保護者からの相談窓口になっている。困り事はぜひ相談してほしい。

以上です。