宝塚市のLGBT施策等について

宝塚市の「同性パートナーシップ制度」が議会を通さない要綱方式で実施されます。

本年度予算でLGBTに関する「理解促進」を目的とした啓発予算(約300万円)が計上されましたので、予算委員会で詳しく質疑させていただきました。啓発リーフレットや職員向け研修、図書の設置や電話相談費用などが内容で、私も「理解促進」に資すると考え賛成しております。

ただ、文部科学省もまだマニュアルを設定できていない児童・生徒さらには園児への啓発については、もし宝塚市が実施した場合、全国的にも初期モデルケースとなるため、十分な調査・研究・研修を踏んだ上での実施が求められると申し述べました。

図書類の設置に関しても質疑しましたが、すでに図書室に配架済であるにも関わらず、具体的な図書内容は教えてもらえませんでした。「図書を使っての啓発を進める(答弁)」以上、図書内容を知ることは重要だと思うのですが。

さて、冒頭に触れた「同性パートナーシップ制度」は要綱方式での実施が決定されましたが、費用が掛からないという理由で予算に計上されておらず、議会で議論できない状況です。

制度を望んでおられる一部当事者のお気持ちを尊重するためにも、議会で十分議論すべきだと思います。また議会を通さず首長の権限で導入する場合、逆に首長の意向で簡単に廃止されてしまう懸念も出てきます。やはり議会での議論が必要ではないでしょうか。

ただ、このような地方自治体レベルの制度が、全国的に採用され、広がるとは考え難く、制度を認める一部地方自治体とその他大多数の自治体との間に格差も生じます。

だからこそ、まずは十分に理解を促進してから、地方レベルではなく、国レベルで議論を深めたほうが、より建設的な議論、誰もが納得できる結論を得ることができると思います。ベースとなる理解さえ広まれば、「パートナー法制」等についても発展的な議論が可能になるのです。

また、罰則規定のある「差別禁止法」の制定を急ぐ主張もあると聞きますが、理解が広がっていない段階での差別禁止や罰則規定は、いわば「故意のない行為を罰する」ようなもので、逆に理解を遠ざける結果になりかねないと危惧します。

以下はあるご当事者から頂いた感想です。一般のご当事者の素直なお気持ちが表れていると感じましたのでご紹介させていただきます。

「接したことが無い存在を差別禁止にしてバリアを張ると、やっかい者として社会から見えない存在にされてしまいかねません。最初の入り口を差別禁止にしてしまうことで、誰も幸せにはなりません。」

4月1日に「障がい者差別解消法」が施行されましたが、障がい者への「理解促進」は何十年もかけて行われてきました。十分理解が広がっているにも関わらず、それでもなされる差別に関しては禁止するべきですし、場合によっては罰則を設けることも可能だと思います。

LGBT理解は始まったばかりですので、「差別禁止法」の制定は明らかに時期尚早だと考えます。このたびの私自身の経験から、心から理解し合える関係を築いていくためには、手順をかけることも大切だと感じるのですが、如何でしょうか?