ジョゼ・アラウージョ氏の講演会

12月1日は「世界エイズデー」の日。米国が初期のHIV感染拡大抑制に失敗したのに対して、ブラジルは拡大を最小限に抑え込んだエイズ対策先進国です。そのブラジルでのエイズ当事者運動の第一人者であるジョゼ・アラウージョ・リマ・フィーリョ氏の講演会に足を運びました。写真は中央がジョゼ・アラウージョ氏、右が日本における当事者活動のリーダーの一人繁内幸治氏です。

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ジョゼ氏はサンパウロ市在住のブラジル人社会活動家。1985年にHIV陽性の診断を得て、陽性者自身による相互支援・権利獲得運動の黎明期に参画。薬のなかった時代を生き抜き、当事者運動のリーダーとして世論や政策を力強く動かしてきました。

ブラジルにおける社会運動は、従来の慈善型運動から形を変えて、課題の当事者自身が主体的に運動を起こす「プロタゴニズモ」型の運動が主流となっています。当事者自身が声を上げ、社会の中で見える存在になることで、はじめて課題や問題の存在が明らかになるため、プロタゴニズモには当事者の「社会的可視化(見える化)」が欠かせないそうです。

左の写真はブラジルのエイズキャンペーンポスター。当事者や誰もが知っている芸能人がコンドームの使用を訴えています(可視化)。これに対して右は日本の今年のキャンペーンポスター。毎年このようなデザインだそうですが、訴求力(訴える力)が弱すぎる印象を受けました。

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